Drag along(共同売却義務)を入れるなら:発動条件(多数決・価格・買い手)の最適解
はじめに
Drag alongは、一定の株主が売却に合意したら、他の株主にも同条件での売却を義務付ける条項です。買い手が100%取得を求める場面で効く一方、少数株主にとっては強制力があるため、発動条件の設計が肝になります。論点は「多数決」「価格」「買い手(取引類型)」の3点です。
①多数決の設計
過半数、2/3、特別多数(例:創業者+主要VCの双方同意)などが候補です。スタートアップでは2/3や特別多数を採ることが多い印象です。将来の資金調達ラウンドを見据えて、現実的に集められる閾値を置く必要があります。
②価格条件の設計
Dragが乱用されると「安く売らされた」という不満が残ります。一定の最低価格を条件にする設計がありますが、価格条件を強くしすぎると、Exit機会を逃すことがあります。価格条件は「守り」と「成約可能性」のバランスが必要です。
③買い手・取引類型の設計
競合への売却は除外する、反社チェックに通らない相手は不可、対価が株式の場合の扱い(ロックアップ等)など、定性的な条件をどう入れるか。実務では「取締役会承認」や「一定のデューデリ・プロセス」を要件化して、恣意性を抑える設計が現実的です。
④署名拒否への備え
Dragは「義務」なので、少数株主が契約書への署名を拒むと取引が止まります。委任・代理署名、違約金、エスクロー控除など、実務上の強制執行手段まで含めて設計して初めて機能します。
まとめ
Dragは買い手の安心材料であり、売り手側の交渉力にもなります。だからこそ、発動条件を「きれい」に設計し、後から揉めない形にすることが重要です。
免責事項
本稿は一般的な実務解説であり、個別案件に対する法的助言ではありません。具体的な法的論点は貴社の法務アドバイザーにご確認ください。なお、実務面におけるご質問等は当社までお気軽にご相談ください。


