利益相反のリスクと回避方法
M&Aにおいて、見落とされがちだが非常に重要なリスクが「利益相反(Conflict of Interest)」です。特にM&A仲介型のスキームでは、売り手と買い手の両方を同時に支援することで、中立性に疑問が生じるケースもあります。
本記事では、M&Aにおける利益相反リスクの実態と、それを未然に防ぐための方法について、経営者視点でわかりやすく解説します。
利益相反とは?
利益相反とは、同じアドバイザーが複数の利害関係者の支援を行うことで、どちらか一方に不利益が生じる、またはその可能性がある状態を指します。
M&Aにおける典型的な利益相反の例
- 仲介業者が売り手と買い手の双方から手数料を受け取っている(両手取引)
- 高値で売却を促すことで報酬が増える構造(レーマン方式)により、買い手側の利益が軽視される
- 契約交渉において、どちらの立場でアドバイスしているかが不明確
利益相反がもたらすリスク
- 売却価格や条件に対する公平性が失われる
- 契約条件で自社に不利な内容が含まれるリスク
- 将来的なトラブル(例:開示義務違反・損害賠償)につながる可能性
- 経営判断の質が落ち、意思決定が不透明になる
利益相反を避けるための3つの原則
- FA(フィナンシャル・アドバイザー)型支援を選ぶ:一方の立場に専属で付き、利益代表として行動するアドバイザーを選定する
- アドバイザーの契約内容と報酬体系を確認する:片手契約であること、報酬が公平で納得できることを明文化する
- 弁護士・税理士などの外部専門家と連携する:セカンドオピニオンを取り入れ、見落としや誘導リスクを回避する
ロタンダコンサルティングの対応
当社では、常に“片側支援型”のFAスタンスを貫き、利益相反を排除した中立性と信頼性の高いアドバイザリーサービスを提供しています。クライアントの立場に立った条件交渉・スキーム設計・意思決定支援を一貫して実施します。
まとめ
M&Aは複雑な意思決定の連続です。その中で「誰のために支援しているのか」が曖昧な状況は、大きなリスクです。経営者として利益相反の構造を理解し、信頼できるパートナーを選ぶことが、M&Aの成功への第一歩です。