M&A対価の種類と支払い方法の影響
M&Aにおいて、企業価値評価だけでなく「どのような対価で取引を行うか」も非常に重要な論点です。
本記事では、M&A対価の代表的な種類とそれぞれの特徴・影響を解説します。
主な対価の種類
1. 現金(Cash)
最もシンプルな支払い方法で、売り手にとって即時の資金化が可能です。一方、買い手にとっては一時的な資金流出が大きくなります。
- メリット: 手続きが簡便、売り手のリスクが少ない
- デメリット: 買い手の財務負担が大きく、借入や資金調達が必要になることも
2. 株式(Stock)
買い手企業の株式を売り手に交付する形式(株式交換・合併など)です。
- メリット: 買い手の資金負担を抑えられる(現金不要)、売り手が買収後の成長にも参加できる
- デメリット: 売り手にとって株価変動リスクがある、上場会社の場合は市場評価に基づいた調整が必要
3. 現金+株式の併用
一部を現金、一部を株式で支払う折衷案です。
- メリット: リスクとメリットのバランスをとれる、買い手の資金戦略に柔軟に対応可能
4. アーンアウト(Earn-Out)
売却後の業績に応じて追加対価を支払う形式です。
- メリット: 買い手のリスクを軽減しつつ、売り手の希望価格に近づけられる、売り手の業績貢献意欲を高める
- デメリット: 業績基準や評価方法でトラブルになりやすい、売り手にとっては将来不確実な対価になる
5. 分割払い(Installment)
取引完了後に分割で対価を支払う方式です。
- 注意点: 売り手の信用リスクが高まるため、保証や担保の設定が必要
対価の選定に影響する要素
- 売り手の希望(即時資金化/成長参加)
- 買い手の資金調達力(借入余力/株式流動性)
- 税務影響(譲渡所得、株式評価、クロスボーダー取引)
- リスク共有の設計(例:アーンアウトによる調整)
- スキーム(株式譲渡/合併/会社分割など)との整合性
ロタンダコンサルティングの支援
当社では、クライアントの希望や財務状況をもとに、最適な対価構成を設計。税務・法務・会計の専門家と連携し、交渉から契約まで一貫支援を行います。
まとめ
M&A対価の設計は、「いくらで売るか」だけでなく「どうやって支払うか/受け取るか」によって結果が大きく変わります。
双方の立場やリスクを見極めながら、柔軟かつ戦略的な対価構成を検討することが、成功するM&Aには欠かせません。

