M&Aで必ずセットで考える:Tag/DragとROFR・Co-sale・譲渡制限の整合
はじめに
株主間契約では、Tag/Dragだけが単独で存在することは少なく、ROFR(優先購入権)、Co-sale(共同売却参加権)、譲渡制限、承認手続などとセットになります。起きがちなのが「どれが先に発動するか」「同時に発動したらどうするか」の矛盾です。
ROFRとTag/Dragの優先順位
株主が第三者に売ろうとしたとき、まずROFRで既存株主が買う権利を持つのか、それともTagで少数株主が一緒に売る権利が先なのか。一般的には、ROFR→第三者売却が確定→Tag/Co-saleという順序で設計することが多いですが、会社の方針で変わります。
譲渡制限との整合
譲渡制限(会社の承認が必要等)がある場合、Dragで売却義務を課しても、法的には会社承認手続が必要になることがあります。Drag発動時は会社が承認することをあらかじめ合意しておく、取締役会の決議プロセスを条文で担保する、といった整理が必要です。
Co-saleとTagの違い
Co-sale(特定株主の売却に参加できる)とTagの違いも混同されがちです。条文が重複すると、同じ局面で複数の権利が同時に走り、通知や期限が競合します。役割を整理し、どちらを採用するか、併存させるなら発動条件を分けるのが安全です。
買収側から見たリスク
こうした整合性の欠如は「クロージングリスク」そのものです。買収契約に入ってから発覚すると、スケジュールとコストが一気に膨らみます。だからこそ、資本政策の段階で整合設計をしておくことが重要です。
まとめ
Tag/Dragは「単品」ではなく、譲渡ルール一式の中で機能します。条文同士の優先順位と手続を一枚のフローに落とし、矛盾がないかを事前に潰すことが、実務上の最短距離です。
免責事項
本稿は一般的な実務解説であり、個別案件に対する法的助言ではありません。具体的な法的論点は貴社の法務アドバイザーにご確認ください。なお、実務面におけるご質問等は当社までお気軽にご相談ください。


